日本ECMOnetとは

日本ECMOnetは、国内でECMO治療という特殊な治療に携わってきた医療者が直接連携することで、人工呼吸やECMOによる治療を必要とする新型コロナウイルスによる重症患者への治療支援を行う組織として発足しました。
2020年1月に中国武漢からの新型肺炎発生のニュースが報道された時からECMOnetが構想され、2月16日には『日本COVID-19対策ECMOnet』として本格的な活動を開始しました。そして2021年4月1日にNPO法人『日本ECMOnet』となりました。

組織発足当初は無償で活動を行い、都道府県や学会そして診療施設の垣根を超えた活動であることが最大の特徴です。

1)新型コロナ重症患者治療に関する24時間対応の電話相談
2)ECMO治療を必要とする患者の搬送
3)相談を受けた重症患者に対する診療現地での治療参加支援
4)ECMO症例の経過追跡
など、様々な活動が行われています。

また、その活動成果が常に公開され、活動の透明性が確保されています。

日本ECMOnet の活動を維持するために、関係学会からの協力をはじめ様々なご支援をいただき、また昨年度(2020年5月から)と今年度は厚生労働省事業としての予算もいただきました。

幸いにして我が国の新型コロナ重症患者の治療成績は、世界のトップクラスを維持しています。

日本ECMOnetも、治療成績のさらなる向上をめざし、日々努力しております。

ECMOにかかわる具体的な実績としましては、これまでのECMO救命率67% 人工呼吸救命率79%、第5波における直近の2ヶ月はECMO救命率80% 人工呼吸救命率85%となっております。(日本ECMOnet登録データ 2021年9月27日 時点)

なお、こうしたECMOの救命率が高いこともあって、これまでの日本全体の新型コロナ感染症患者の死亡率は1.03%、直近2ヶ月の日本全体の死亡率0.29%となっています。(NHK集計より、2021/9/27時点)

しかし、残念ながら新型コロナ感染症は未だ収束しておらず、再び重症患者が増加することがあれば、治療成績の低下を招きかねません。

引き続き日本ECMOnetの活動を維持し、また近い将来生じる可能性の高い新しいタイプの感染症に備えるという社会的使命を果たすためにも、2021年度から、これまでの有志団体からNPO法人に衣替えして活動を始めました。

コロナ禍で、日本ECMOnetへの社会的な要請も強まるにつれ、責任の重みも増しています。今後、持続的・安定的に事業を運営できるよう努力を重ねてまいりたいと思います。

皆様のご理解とご支援を、どうぞよろしくお願い致します。

NEWS

2021.10.05
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』(10月5日火曜日午後10時より放送。)で 理事長の竹田晋浩が取り上げられました。

(NHK 番組HP)
「新型コロナ治療、最前線の闘い〜集中治療医・竹田晋浩〜」 - プロフェッショナル 仕事の流儀

2021.9.14
朝日新聞に、日本ECMOnetの広域支援活動の取り組みと、理事の清水敬樹・都立多摩総合医療センター救命救急センター長のコメントが掲載されました。

(朝日新聞)
重症患者治療に欠かせない専門医 「どこに何人」国は把握していない:朝日新聞デジタル

2021.9.5
NHKのニュースに、移動式集中治療室「エクモカー」の取り組みが取り上げられました

(NHK)
移動式集中治療室「エクモカー」連日出動 重症化で転院相次ぐ

2021.8.26
厚生労働省内で、日本ECMOnetの新たな支援策(広域支援)について、理事長の竹田晋浩、副理事長の藤野裕士、理事の西田修、山脇岳志が記者会見しました。
産経新聞、毎日新聞、日本テレビなどで取り上げられました。

(産経新聞)
重症者治療に医師派遣 専門医ら、東京で開始

2021.4.1
従来は任意団体であった「日本ECMOnet」がNPO法人になりました。

2021.2.8
ECMOnetの取り組みと理事長の竹田晋浩のコメントが毎日新聞(1面)で取り上げられました。

(毎日新聞)
コロナ重症数、想定以上 救命率上がったが… エクモ専門医が危惧 「拠点病院整備を」

2021.9.5
NHKのニュースに、移動式集中治療室「エクモカー」の取り組みが取り上げられました

(NHK)
移動式集中治療室「エクモカー」連日出動 重症化で転院相次ぐ

団体の沿革

2009年9月 日本呼吸療法医学会H1N1 インフルエンザへの危機管理委員会設立(委員長竹田晋浩)
2010年 厚生労働科学研究 新型インフルエンザ研究班(森島班)へ参加(竹田晋浩)2021年まで継続
2012年 同委員会をECMO プロジェクトへ変更(委員長竹田晋浩)

スウェーデン・ストックホルム Karolinska University Hospital ECMO Centre 研修開始

イギリス最大のECMO センターGlenfield Hospital 視察

日本のH1N1 インフルエンザへのECMO 治療成績が海外と比べ劣っていることを発表
J Anesth. 2012;26:650-7. Extracorporeal membrane oxygenation for 2009 influenza A(H1N1) severe respiratory failure in Japan.

Asia-pacific ELSO (extracorporeal life support organization)設立、オーストラリア・メルボルンでの会議へ参加(竹田晋浩、落合亮一、市場晋吾、清水直樹)
2013年 日本集中治療医学会にECMO プロジェクト設立(委員長竹田晋浩)

イギリス・ロンドン Guy’s & St Thomas’ Hospital ECMO Centre にてMERS 患者のECMO 治療に参加(竹田晋浩)

厚生労働科学研究(厚生労働科学特別研究事業)
新型インフルエンザ等を起因とする急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する体外式膜型人工肺(ECMO)療法の治療成績向上の為のシステム構築(代表 竹田晋浩)

第1回 AP-ELSO 2013  北京 10/11~13、2013(講演:落合亮一、清水直樹、中川 聡、市場晋吾)
2013年12月 特定非営利活動法人 ECMO Japan 設立 (代表理事 落合亮一、副代表 竹田晋浩)
2014年 厚生労働科学研究(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業)
重症循環不全・呼吸不全に提供される体外式膜型人工肺(ECMO)療法の研修やレジストリネットワーク体制の構築に関する研究(代表 落合亮一)

RedBook 翻訳

イギリスGlenfield Hospital、NHS(イギリスの厚労省)へ厚労省の方と訪問(竹田晋浩、落合亮一、清水直樹、増野智彦)
2015年 日本医療研究開発機構研究
重症循環不全・呼吸不全に対する体外式膜型人工肺(ECMO)療法の治療体制構築に関する研究(代表 竹田晋浩)

Asia-Pacific ELSO 学会開催(会長落合亮一、事務局長竹田晋浩)

ドイツ・レーゲンスブルグ4th Euro ELSO にて招待講演(竹田晋浩、市場晋吾)
2015-16年 イギリスGuy’s & St Thomas’ Hospital ECMO Centre およびCambridge University Papworth Hospital ECMO Centre にてECMO 治療に従事(小倉崇以)
2016年 日本のH1N1 インフルエンザへのECMO 治療成績が海外よりも優れていることを発表
J Intensive Care. 2018;6:38. Comparison of extracorporeal membrane oxygenation outcome for influenza-associated acute respiratory failure in Japan between 2009 and 2016.
2017-19年 森島班にて東京オリンピック・パラリンピックでの新興感染症発生時の重症対応の整備 ECMO を必要とする患者が出た場合の対応整備
2017-19年 Asia Pacific ELSO 主催のECMO simulation training course 開催(清水敬樹)
2018年 チェコ・プラハ7th Euro ELSO にて教育セッション開催(市場晋吾、竹内一郎、清水敬樹)
2020年2月 新型コロナウイルス感染症に対応するため日本COVID-19 対策ECMOnet 設立(代表・竹田晋浩)
2021年4月 NPO 法人日本ECMOnet 設立(理事長・竹田晋浩)
2012年 同委員会をECMO プロジェクトへ変更(委員長竹田晋浩)

スウェーデン・ストックホルム Karolinska University Hospital ECMO Centre 研修開始

イギリス最大のECMO センターGlenfield Hospital 視察

日本のH1N1 インフルエンザへのECMO 治療成績が海外と比べ劣っていることを発表
J Anesth. 2012;26:650-7. Extracorporeal membrane oxygenation for 2009 influenza A(H1N1) severe respiratory failure in Japan.

Asia-pacific ELSO (extracorporeal life support organization)設立、オーストラリア・メルボルンでの会議へ参加(竹田晋浩、落合亮一、市場晋吾、清水直樹)

COVID-19重症患者状況

日本ECMOnetのメンバーは、ECMOや人工呼吸治療を必要とした重症患者の症例登録を行なっています。症例登録というのは、個人情報が保護された条件で診療情報を登録するシステムです。

登録内容は、状態(年齢、性別、身長、体重、既往歴など)に加えて、ECMO・人工呼吸治療が必要となった病態、具体的な治療内容(どのようなECMO・人工呼吸治療が行われたのか?)、予後(ECMO治療完了したのか、継続中なのか、退院したのか、など)が入力されています。

この情報をもとに、より良い診療方針が検討されていますが、現在ECMO治療中の症例数、人工呼吸を必要としている症例数、その予後などについて常に情報提供をしています。

それが、『NPO法人日本ECMOnet COVID-19 重症患者状況』です。

ECMOとは

ECMO はエクモと呼ばれますが、Extra-Corporeal Membrane Oxygenation の頭文字から生まれた言葉で日本語では『体外式膜型人工肺』と訳されています。

肺や心臓の機能が極端に低下した場合、従来の治療法では対応ができない状態になります。

そこで、太い血管に管を挿入し1分間に 3〜5L 程度の血液を体外に連続的に出します。

そして膜型人工肺という装置で血液に十分に酸素を加え二酸化炭素を除去し、その血液をポンプで再び体内に送り返すことで救命する治療法がECMO治療です。

ECMOは心臓と肺の代わりをする装置であり、非常に特殊な知識と技術そして経験を必要とする治療法です。

ECMOの稼働状況

よくあるご質問

実際の公開ページでは回答部分が閉じた状態で表示されます。
  • ECMOnetに問い合わせや搬送依頼はできますか?

    日本ECMOnet の活動は、医学的情報に基づいた情報支援(治療方針についての相談)を基本としています。マンパワーの限界もあり、診療支援や遠隔搬送といった現場での診療支援は限られた状況(国や自治体からの要請を受けた場合など)でのみ対応しています。このため、一般の方から直接ご連絡をいただいてもお答えすることはできないことをご理解ください。

    私たちは、主治医の方からの電話相談(診療支援に踏み切るかどうかの判断含め)を24時間対応で受け付けています。一般の方からの直接のお問い合わせやご依頼は受け付けておりませんので、まずは、主治医の方にご相談ください。

  • ECMOはどんな時に使うのですか?

    ECMOは新型コロナウィルス重症肺炎に限らず、呼吸不全、心不全、あるいは心停止、といった生命に関わる一大事で、通常の治療方法では救命することが難しい場合に行う治療です。心臓や肺が障害を受けた場合に、その機能の肩代わりをすることで、心臓や肺を休ませ、機能の回復が期待される場合に検討されます。

    重症の呼吸不全や心不全に加えて、心肺蘇生後や心肺移植への橋渡しにも使用します。

  • ECMOの治療は何日位かかりますか?

    呼吸不全や心不全の状態によって経過は様々ですが、数日から数週間の治療を想定しています。ECMOが装着されている間は、医師、看護師、そして臨床工学士が24時間常時つきっきりで治療を行います。このため、通常の診療と比べて圧倒的にマンパワーを必要とする治療といえます。

  • ECMOで後遺症は残りますか?

    新型コロナウイルス感染症をはじめとして、ECMO治療を必要とする病気に際して、病気そのものに伴う後遺症とECMO治療に伴う後遺症を厳密に分けることは難しいのが現状です。その上で、ECMO治療に伴う後遺症と考えられるのは、以下のようなものがあります。

    1)ECMO治療に際しては、大量の血液を身体から出し入れする必要があり、非常に太い管(カニューレ)を血管に挿入することが必要です。その結果、挿入した足の虚血を生じたり、あるいは上肢の虚血を生じる可能性があります。そのリスクについては主治医にご確認ください。

    2)新型コロナウイルス感染では、全身の血液が固まりやすくなり、そのため様々な臓器における血流障害が報告されています。一方で、ECMO治療では、大量の血液を体外装置に連続的に灌流させるために、血液が固まってしまう可能性が高まります。血液が固まらないよう抗凝固薬を連続的に用いますが、その結果、ECMOの合併症の一つに大量出血があります。こうした血液の出血凝固異常についてのリスクも主治医・担当医から十分な説明を受けてください。

  • ECMOの治療を行う上で、国際的な組織はありますか?

    世界中で行われている ECMO治療の実態について、症例登録されたデータをもとに、治療成績ならびに治療ガイドラインなどの情報を提供している組織があります。

    Extracorporeal Life Support Organization (ELOSO) という組織で、ECMO治療の最新情報を提供しています。日本ECMOnetも、このELSO の治療方針をもとに診療を行っています。

    https://www.elso.org/

  • 日本ECMOnetはどんな人達がやっているのですか?

    活動メンバーは、ECMO治療に十分な知識と経験のある医師で構成されています。現在、100名以上のメンバーが活動していますが、学会や病院、あるいは大学、そして地方自治体などとは全く独立した立場で活動しています。

    2020年2月、日本ECMOnetの活動は無償のボランティア活動として始まりましたが、同年5月から厚生労働省事業として活動支援を賜り人件費などの補助が開始されております。

    ただ課題もあります。上記の政府からの支援によって、医療現場の支援に入る医師の人件費、交通費については確保できておりますが、医療支援現場や、現場に向かう途中での事故も含めさまざまなリスクへの補償はありません。医療データの症例登録なども、ボランティアで行っています。役員は無報酬で関係者の使命感と熱意によって運営されているのが現状です。

  • 寄付をした場合どのように使われますか?

    みなさまから頂いたご支援金につきましては、下記のような事業や経費に使わせていただきたく思っております。皆様のご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

    1.ECMO現地治療にかかわる医師の支援

     医師が、現地での不慮の事故や移動中の事故に備える損害賠償保険掛け金,医師がECMO出張治療に伴い、自らが勤務する病院の業務から外れることによる費用の補填など

    2.今後の研究、治療成果の向上のため、ECMOを使用した症例について、記録・登録していくための人材雇用を含めた諸経費

    3.日本ECMOnet事務局の運営費(事務費、人件費など)。現在は、専任スタッフがゼロの状態です。

    4.ECMOnetが自ら企画し、ECMO治療ができる医療従事者の数を増やすための独自の講習・研修の費用補助

    ご寄付が予想を超えて多く集まるなどの場合は、ECMO医療緊急支援用のエクモカーの購入も検討します。

  • ECMOの治療は何日位かかりますか?

    呼吸不全や心不全の状態によって経過は様々ですが、数日から数週間の治療を想定しています。ECMOが装着されている間は、医師、看護師、そして臨床工学士が24時間常時つきっきりで治療を行います。このため、通常の診療と比べて圧倒的にマンパワーを必要とする治療といえます。

日本ECMOnetの思い

我々はこれまでの医学的経験と治療成績から、COVID-19に対してECMOにより助けられる命が必ずあると思い、この活動を開始しました。
開始当初から日本呼吸療法医学会・日本集中治療医学会・日本救急医学会・日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会・日本小児科学会・PCPS/ECMO研究会などの関係学会から、このECMOnetの活動を行う事への賛同と協力を賜ることができました。

そして現時点で重症患者の治療成績は世界のトップを維持しております。これは多くの学会組織と厚生労働省による支援のもとに、All Japanでの対応ができてるからです。そしてECMOnetへ参加してくれている医療従事者の献身的な活動が今回の治療成績を生み、このECMOnetの活動を支えているのです。
より行動を活発にし、さらなる社会貢献を行うためにも、これからはNPO法人として活動を続けてまいります。
我々はこれからも一人でも多くの患者を救命できるよう活動を続けていきます。

理事長 竹田晋浩